大原永子芸術監督による2015/2016シーズン舞踊演目説明会が開催されました


2月21日(土)の『ラ・バヤデール』公演終了後、大原永子舞踊芸術監督による2015/2016シーズン舞踊演目説明会が開催されました。以下では、約1時間近くにわたった説明会から抜粋してご紹介いたします。

 

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     大原永子舞踊芸術監督            大勢のお客様にご来場いただきました(司会は守山実花氏)

 

◯「ホフマン物語」について

来シーズンのバレエは『ホフマン物語』で始まります。これは私が長く在籍していたスコティッシュ・バレエの設立者であるピーター・ダレルの作品です。私がかつて日本で踊っていた頃、自分の踊りに行き詰ってしまった時期がありました。そんなときに英国に渡り、ピーターと出会いました。ピーターは、同時代のマクミランやクランコとともに、ドラマ性に満ちた作品を次々と発表していました。英国は演劇の国ですから、バレエもドラマ性が求められます。「ドラマはマイムで表現し、ダンスは別」というのではなく、ダンスそのものに感情が込められているのです。私はとても刺激を受け、こういうバレエが踊りたかったのだと思ったのです。『ホフマン物語』もその一つで、彼のスコティッシュ・バレエにいる間に1~3幕に登場するそれぞれの主役をすべて踊りました。私自身がこの作品をよく分かっていますし、ステージングを手伝ってくれるスタッフもいてくれるので、この作品を取り上げることにしました。

新国立劇場のオペラパレスは、ダンサーが非常に美しく見えます。また、充実した舞台機構を持っています。これらのことを生かすために、装置は川口直次さん、衣裳は前田文子さんにデザインをお願いし、出演者も少し人数を増やした「新国立劇場オリジナル版」として新制作いたします。

ピーターの作品はドラマティックですので、彼のスタイルをマスターするのはなかなか難しいと思いますが、こういうものを踊ることで、ダンサーの表現力も磨かれていくと考えています。男性主役のホフマンは最初20代の設定で登場し、60代の晩年までの人生を一人のダンサーが踊ることになります。また相手役の女性主役は幕ごとに替わります。それぞれの悲恋の物語をお楽しみいただけると思います。

 

くるみ割り人形

ご家族でご覧いただきたい作品として、『くるみ割り人形』を上演します。昨年の『シンデレラ』も同様ですが、クリスマスの時期にはこういう作品を恒常的に上演していきます。ご家族ご一緒に劇場に足を運んでいただければと思っています。

 

ニューイヤー・バレエ

今までにはなかった新しい企画です。今やモダンの定番作品ともいえるバランシンの『セレナーデ』に続いて、バレエ団としては珍しいパ・ド・ドゥ集、最後は『ライモンダ』の3幕と、バラエティに富んだプログラムで新年を迎えていただきたいと思います。

全幕バレエを上演するのとは異なり、多くのダンサーをご覧いただけます。若手にも多くチャンスを与えるつもりですので、バレエ団の層を厚くすることにもつながるかと思います。

 

ラ・シルフィード/MEN Y MEN

『ラ・シルフィード』は比較的地味ですが、ブルノンヴィル・スタイルの味わい深い作品です。私は、スコティッシュ・バレエ時代にこのブルノンヴィル・スタイルに深く接し、その魅力を知りました。私はステージングを担当しますが、この魅力を、皆さんにお伝えできればと思います。

『MEN Y MEN』は、今年3月の「トリプル・ビル」で取り上げる『トロイ・ゲーム』同様、男性ダンサーだけで踊る作品です。私は、男性ダンサーの魅力を高めることを非常に重要だと考えています。これらの作品を上演することによって、新国立劇場の男性ダンサーのレベルがさらに上がることを期待しています。

 

ドン・キホーテ、アラジン

『ドン・キホーテ』については、皆さんよく知っていらっしゃると思いますので、説明は不要ですよね(笑)。『アラジン』は、デヴィッド・ビントレー前監督が新国立劇場バレエ団のために振り付けた作品です。今シーズンにはビントレー作品がありませんでしたので、ファンの方には、ぜひご期待いただきたいと思います。

 

ダンス公演

来シーズンのダンスも、多彩な4公演がラインアップされています。ここでは、バレエ団ダンサーが出演する「Dance to the Future」が、今回初めて中劇場で、バレエ団のChoreographic Groupによる振付作品を上演することをご紹介しておきます。また同公演では、ジェシカ・ラング振付の『暗やみから解き放たれて』も再演されます。


 

*なお、今回の説明会では、お客様から事前に書面にてご質問を受け付けました。

 

新作を新国立劇場バレエ団に振り付けてもらうことは今後あるのか?

もちろん、必要なことだと思っています。ダンサーに合う、新国立劇場に合う、そしてお客様にも喜んでいただける、など、いくつもの要素を満たさなければいけないので、時間をかけて探していこうと思います。

 

より多彩なダンサーを主要な役にキャスティングしては?若手へのチャンスの与え方は?

実力あるより多くのダンサーを育て、主役に抜擢していくことは、非常に重要なことです。実際に、そのように努力しています。ただ、まず第一に「きちんと踊れること」が必要です。また、ダンサーの個性と役の個性が合うか、舞台の経験があるかも非常に重要です。キャスティングは、多くの要素がかかわり、とても難しいものです。その点をご理解ください。

一方、新国立劇場バレエ団の内部では、今、若手がどんどん育ち、変化が起こっています。近い将来、皆様にもその変化が感じられるようになるかと思います。ご期待ください。

また、今シーズンのゲストプリンシパルである、ワディム・ムンタギロフさんは、バレエ団に大きな影響を与えてくれています。ゲストについては、こうした相乗効果も考えながら依頼していきたいと思っています。

 

『ラ・シルフィード』で、マッジ役にて出演することはないか?

以前、マッジ役で出演した際に「こんな怖いマッジは見たことがない」と褒められたことがあります(笑)。しかし、先ほど申しましたように私はステージングを担当しますので、残念ながらマッジ役で出演することはありません。

 

最後に

私はダンサーとして長く踊ってきましたので、芸術監督になった今も、常に現場にいて、ダンサーと向き合っています。新国立劇場バレエ団が創立以来培ってきた財産を大切にして、長い歴史を誇る世界の大バレエ団と並んでも引けを取らないレベルに早くなれるよう、早く追いつきたいと思っています。どうか今後とも新国立劇場バレエ団を応援していただき、劇場へいらしてください。お待ちしております。

2015/2016シーズンも、新国立劇場バレエ・ダンスにどうぞご期待ください!

2015/2016シーズン バレエラインアップ一覧はこちらから

2015/2016シーズン ダンスラインアップ一覧はこちらから


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