舞踊芸術監督
大原永子

2016/2017シーズンは、全幕バレエ『ロメオとジュリエット』で開幕いたします。英国の生んだ20世紀の最も重要な振付家の一人、ケネス・マクミランの代表作であると同時に、ドラマティック・バレエの最高傑作として世界中で愛されている作品です。新国立劇場バレエ団では2001年10月の初演以降、大切なレパートリー作品として再演を重ねてきました。このバレエでは舞台に登場するダンサー一人ひとりが振付だけでなく、役柄、時代設定等を深く理解した上で表現することが求められます。私自身ドラマティック・バレエの魅力に強く惹かれ、バレエダンサーとしてのキャリアを積んでまいりました。今回の上演を通じて、ダンサー達の表現力と芸術性をさらに高め、物語と登場人物の心理を克明に描き出す深遠な舞台を創っていきたいと切望しております。

12月にはクリスマスシーズンの人気演目アシュトン振付『シンデレラ』を上演。2月には『ヴァレンタイン・バレエ』と銘打って、個性豊かな珠玉の作品群を上演します。バランシン振付『テーマとヴァリエーション』、古典の名作『ドン・キホーテ』『白鳥の湖』からのパ・ド・ドゥに加え、深川秀夫振付『ソワレ・ド・バレエ』、バランシン『タランテラ』、そしてロバート・ノース『トロイ・ゲーム』といった新旧の作品で構成します。ローラン・プティの洒脱な振付が光る『コッペリア』、そして5月には2014年に新制作した古典の最高傑作『眠れる森の美女』を上演し、6月にはロマンティック・バレエの傑作『ジゼル』で、シーズンを締めくくります。

ダンスでは、新国立劇場ならではの多彩な4公演をお届けします。JAPON dance project 2016公演では国際的に振付家/ダンサーとして活躍するメンバーを中心とした「ジャポン・ダンス・プロジェクト」と新国立劇場バレエ団ダンサーがコラボレートを行い、新作を発表します。今回で5回目の企画となる「DANCE to the Future 2016 Autumn」では、新国立劇場バレエ団ダンサーによる振付作品を上演します。創作活動を通じて拓かれる彼らの身体と創造の可能性にご期待ください。3月には、中村恩恵がベートーヴェンの音楽と彼の生き方にインスピレーションを得た新作『ベートーヴェン・ソナタ』を新国立劇場バレエ団のために創作。6月には、2014/2015シーズンにご好評いただきました『大人もこどもも楽しめるダンス公演』の第2弾として、小野寺修二による『ふしぎの国のアリス』が登場し、シーズンの最後を飾ります。

幅広いお客様に満足していただけるような多様性に富んだ、質の高い新国立劇場のバレエ、ダンス公演でありたいと願っています。ぜひ、劇場へ足をお運びください。

プロフィール

橘秋子、牧阿佐美、アレクサンドラ・ダニロワ、イゴール・シュベッツォフに師事。橘バレエ学校を卒業後、橘バレエ団を経て1956年、牧阿佐美バレヱ団結成と同時に入団。62年に『白鳥の湖』の主役に抜擢され、以後同団のプリマ・バレリーナとして古典、創作を問わず数多くの作品に主演する。71年にアメリカに留学し、74年に渡英。ニューロンドンバレエからロンドン・フェスティバル・バレエ、さらにスコティッシュ・バレエへと移籍。77年、スイスのバーゼル・バレエに一時在籍した後、78年に再びスコティッシュ・バレエに戻り、96年までプリンシパル・ダンサーとして活躍。72年舞踊批評家協会賞、82年芸術選奨文部大臣賞、91年服部智恵子賞を受賞。95年よりスコティッシュ・バレエでコーチを務める。97年には大英勲章(OBE)を日本人アーティストとして初めて授与された。
2004年紫綬褒章受章。12年橘秋子賞特別賞受賞。14年に旭日小綬章を受章。1999年より新国立劇場バレエ団のバレエ・ミストレスを務め、2010年に同バレエ団の監督補。14年9月新国立劇場舞踊芸術監督に就任。