
稽古場は事実上の創作現場であり、多様な演目をつくり上げていく場として十分なスペースを備えるとともに、適切な音響条件を満足するものとしています。19室におよぶ各種の稽古場は、地下2階に集約的に並列配置しています。
稽古場相互の連携も容易であり、また地下2階まで掘り込んだライトコートに面したリハーサルロビーは、自然と接する空間提供として、創造活動環境を豊かなものにしています。(※)
舞台上の演出をサポートする骨格を支える部門であるこれらの機能空間は、大道具や背景幕など極めて大型のものに対応する大空間で、かつヘビーデューティな仕様構成が要求されます。とりわけ搬送用にはいずれも10mを超える高さの天井や開口部を必要とし、水平移動には連続する床の平面性が獲得されねばなりません。また舞台に隣接する空間の遮音性は、舞台への影響を完璧に回避すべき性能に高めなくてはならないことも重要な要素です。(※)
共通ロビーは3つの劇場の導線の核です。全ての観客は、共通ロビーを基点としてオペラ・中・小劇場へアクセスします。そして終演時には、それぞれの劇場の興奮を抱えた人々が共通ロビー空間に会することとなり、そこはまさに観客のための大舞台となります。大階段を連ねた空間は、心の高鳴りを増幅する人と人との出会いの場であり、第4番目の劇場と言えるでしょう。(※)
共通ロビーを見下ろす位置に配されたギャラリーは、舞台芸術に関するさまざまな展示企画が期待されています。「坂の街」をテーマにして共通ロビーに張り出したバルコニーは、街の「窓」をかたどるもので、ロビーの人びととの視線の交流が意図された演出用のステージでもあります。(※)
各劇場から容易にアクセスができ、プロムナードおよび共通ロビーを望む位置にあるレストランは、幕間や終演後などにおける舞台芸術への期待や余韻を増幅する場です。(※)
複合的な機能が展開するこの劇場では、構成の大枠を明示することを優先し、次第に細部を確認すると言ったヒエラルキーを、サインの位置や大きさと同調させました。すなわち大空間での表示は木製のサイン柱を動線のただ中に立てて視認性を際立てました。壁付けのサインについても、コンクリート壁に際立つ木製のサイン板に文字を配する方法をとりました。
木製によるサイン柱やサイン板は、石、ガラス、コンクリートなどの硬質な仕上げの中にあって、柔らかな素材感触と木の放つ色彩が顕わす親近感が、より視認性を呼び起こすものとの考えによるもので、従ってそれらは同材による木製家具とともに空間のアクセントとしても存在の意味を兼備することになっています。(※)

![]()
| 楽屋 | |
|---|---|
| オペラ劇場 | |
| 大楽屋 | 2室(55,60m2/室) |
| 中楽屋 | 12室(22〜29m2/室) |
| 小楽屋 | 7室(14〜19m2/室) |
| オーケストラ楽屋 | 6室(31〜50m2/室) |
| 中劇場 | |
| 大楽屋 | 2室(43,530m2/室) |
| 中楽屋 | 2室(350m2/室) |
| 小楽屋 | 7室(16〜200m2/室) |
| オーケストラ楽屋 | 4室(20〜410m2/室) |
| 小劇場 | |
| 中楽屋 | 3室(19,20,25m2/室) |
| 小楽屋 | 2室(16,17m2/室) |
| 稽古場 | |
| Aリハーサル室 | (375m2) |
| Bリハーサル室 | (237m2) |
| Cリハーサル室 | (285m2) |
| Dリハーサル室 | (140m2) |
| E・Fリハーサル室 | (24,28m2/室) |
| G・Hリハーサル室 | (49,44m2/室) |
| バレエリハーサル室 | (282m2) |
| オーケストラ リハーサル室 | (228m2) |
| 合唱リハーサル室 | (138m2) |
| 1〜4スタジオ | (17〜18m2/室) |
| 5〜8スタジオ | (12〜17m2/室) |
| ※Aリハーサル室はオペラ劇場の、Cリハーサル室は中劇場のそれぞれの主舞台に対応する広さ。 | |
| 製作関係施設 | |
| 主な製作関係施設 | |
| 組立場 | 1室(511m2) |
| 金工・木工場 | 2室(193m2/室) |
| 画工場 | 1室(461m2) |
| その他の製作関係施設 | |
| 染色室等 | |
| 研修関係施設 | |
| 講義室 | 2室(58,31m2/室) |
| 講師控室 | 1室(15m2) |
| 実技研修は、劇場の舞台及びリハーサル室等を使用して行う。 | |
| 収納庫 | |
| オペラ劇場 | 大道具収納庫 3室(180,297,647m2/室) |
| 衣裳保管庫 2室(109,111m2/室) | |
| 中劇場 | 大道具収納庫 2室(192,435m2/室) |
| 衣裳保管庫 2室(72,110m2/室) | |
| 管理関係施設 | |
| 事務室、防災センター等 地下駐車場:駐車台数(230台) | |
| 共通スペース | |
| オペラ、中、小の各劇場毎に設けている共通スペース | |
| ホワイエ、クローク、ブッフェ及びチケットサービス | |
| 全体の共用として設けている共通スペース | |
| ボックスオフィス、楽屋ロビー、共通ロビー、プロムナード及びレストラン等 | |
※新国立劇場 NEW NATIONAL THEATRE TOKYO -HEART OF THE CITY(著作:柳澤孝彦+TAK建築・都市計画研究所)より引用。